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【一戸建て編】空き巣が侵入しやすいポイント

一戸建ての空き巣対策

 

空き巣は財産を奪うだけでなく、場合によっては居直り強盗と化して身体の安全も脅かします。安心して暮らすためには、最低限の防犯への備えが必要と言えるでしょう。

そんな空き巣には、実は定石とも言える侵入しやすいポイントがあるのです。

この記事では、空き巣が侵入しやすい危ない場所を列挙します。該当する場合には、何かしら対策することが好ましいでしょう。

開けっ放しの窓、美しい花が咲き誇る庭……あなたの暮らしやすさが、皮肉にも侵入窃盗の被害リスクを上げてしまっているかもしれません。

一戸建ての危ない場所とは? 

まずは空き巣の侵入経路になり得る、危ない場所をピックアップします。

①玄関

②窓

③裏口、勝手口

④家を囲う塀や植物

⑤2階以上の上階

この5つについて、どんな状態が危険なのかを確認しましょう。

①玄関

・通りに面した玄関

ただの通行人を装って、通りからすぐにアクセスできてしまう玄関。実はとても危険です。

想像するとわかりやすいのですが、通りから奥まった位置にある玄関には近づきがたいものです。

たとえ回覧板を回すなどの正当な理由があっても、人様の家の門を通って玄関へと近づくには一定の緊張感があるでしょう。

「ここからは他人の領域だ」と感じさせるスペース。これを「領域性」と呼びます。通りから距離のある玄関は領域性を確保でき、空き巣は仕事しづらくなります。

領域性が確保できているアプローチ例
通りから距離があるため、近寄りにくい玄関。
写真引用:名古屋の工務店コスモホーム

空き巣にしてみればドアの防犯性能の下見は必須項目です。通行人のふりをしてふと立ち止まり、ドアの鍵などを調べる。これが容易にできてしまう家は高リスクです。

・乱雑な郵便受け

空き巣は郵便受けの状態を見ることで、家主の性格まで推測してしまいます。チラシや新聞が溜まった郵便受けによって、家主はルーズな性格であり、防犯面においての意識も同様であると推測されかねません。

もしあなたの郵便受けにチラシや新聞などが溜まっていたら、すぐに回収することをお勧めします。

請求書などから個人情報を見られるリスクもあり、特殊詐欺の標的となる可能性まで孕んだ危ないポイントです。

②窓

・クレセント錠だけの窓

他の記事でも言及していますが、空き巣の6割は窓から侵入します。窓の施錠状況は、安全に直結する大切なポイントです。

あなたの家の窓には、鍵は付いているでしょうか?半月型のクレセント錠のみという方が多いのではないでしょうか。

空き巣は20秒以内に窓を割り、クレセント錠を開けて侵入できます。クレセント錠には事実上の防犯性能はありません。サッシ部分に取り付ける補助錠や、ロック機能の付いたクレセント錠で窓を守りましょう。

クレセント錠の写真
この写真のようなワンタッチ式ロックは効果がありません。ダイヤルキーや鍵穴付きのクレセント錠が好ましい。

このような対策は、防犯上「対象物の強化」として大切な概念となっています。

・通常の窓ガラスや網入りガラス

特に断りがないかぎり、窓に使われるガラスはフロート板ガラスという3~4mmの単層ガラスです。これはほんの数秒で割られてしまう脆いガラスです。

また、一見頑丈そうに見える網入りガラスは、実は防犯性能がとても低いガラスです。網が入るためにガラス自体の強度は低く、金属網もかんたんに切断できてしまいます。

網入りガラスのそもそもの目的は、火災時の延焼抑止です。ガラスが割れても脱落しないことで、火が燃え広がらないように工夫されたもの。見た目とは裏腹に防犯性能はほとんどありません。

対策としては、割られにくい防犯ガラスにする、防犯フィルムを貼るといった方法が中心となるでしょう。これも「対象物の強化」です。

・ネジ山が露出した窓の格子

窓の外側に格子を取り付けているお宅をよく見かけます。しかし格子を取り付けたことで安心されたのか、ネジ山が露出していることも少なくありません。

頑丈な格子も、ネジをはずされてしまえば撤去可能です。ネジ山はドリルなどでしっかりとつぶしてしまいましょう。

③裏口、勝手口

・近隣から見えづらい勝手口

勝手口は極力見えづらいようににしている、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。見えづらいということは、空き巣も隠れて作業しやすいという事になります。

勝手口とはいえ、できる限り人が隠れにくい開放的な空間にすることが大切です。すでに狭い空間としてデザインしてしまった方は、きれいな花のプランターを置くのも良いでしょう。近所の視線が集まるようになれば、空き巣もそこから侵入しづらくなります。

この考えを「監視性の確保」と言います。

人目を引いて見つかりやすくするという観点から、砂利を敷くことも一定の効果が期待できます。砂利から発せられる音は、結果的に周囲の目を集めることに繋がります。

④家を囲う塀や植物

・近隣からの視線を遮る塀や植物

プライバシーを守るために家の周りを高い塀で囲むと、他人から見られない快適さを得られる一方で、空き巣にとって潜みやすい空間が作られてしまいます。

庭の植物も同様で、自分好みのガーデニングが空き巣を招くという皮肉な結果にもなりかねません。

基本的には、格子などの視線を完全には遮断しないタイプの塀が好ましいです。低い位置はブロック、高い部分は格子というように併用しても良いでしょう。これも「監視性の確保」です。

格子状の塀の写真
隠しつつも、人の存在はわかる程度の塀。
写真引用:名古屋の工務店コスモホーム

ただ、プライバシー保護と監視性の確保は相反します。空き巣に強い家づくりをするにあたって、かなり悩ましいポイントとなるでしょう。

⑤2階以上の上階

・2階へ上る足がかりとなるもの

2階なら窓を開けっぱなしで出かけても大丈夫……その油断を狙うのも空き巣の常套手段です。

空き巣は窓の上の庇(ひさし)、カーポートの屋根を足場にして2階へ上ることがあります。雨どいの縦パイプも、ちょうどよい侵入経路となり得ます。

雨どいの写真
雨どいの縦パイプ(竪どい)。身軽な空き巣なら上ることができる。

屋外に設置した倉庫や、つい置きっぱなしのポリバケツなども足場となるでしょう。プロの空き巣なら、自転車のような外に置いて当たり前の物を上手に活用して2階へ上ることも可能です。

2階の窓も安全とは言い切れません。戸締りは忘れずに行いたいところです。

・隠れることができるバルコニー

外から見えないバルコニー内は、空き巣の良い隠れ場所となります。いったん身をひそめることができれば、余裕をもって窓をこじ開けることが可能です。1階よりもかえって危険かもしれません。

格子や網状のフェンスによってシースルーのバルコニーにすることで、「監視性の確保」を狙うのが有効です。

・隣接する建物との距離感が近い

住宅地では特に注意したいポイントです。隣の集合住宅の非常階段からバルコニーに飛び移る。そんなアクロバティックな犯行も想定しておくべきでしょう。

集合住宅でなくても、隣人の植えた木や建てた塀を利用して2階へ上られる可能性も十分に考えられます。自分の家は十分に空き巣対策できていると思っていたら、隣人がちょうどよい侵入経路を作ってしまっていた、なんてことも。

 

一戸建てにおいて危険なポイントをざっと列挙しました。考えることが多くて大変だと感じませんでしたか?

確かに、しっかりと空き巣対策をするには考えなくてはいけないことがあまりに多いのが現実です。脆弱な場所に気づけないこともあるでしょう。

そこで、これさえ覚えておけば防犯の地頭が良くなると言っても過言ではない、防犯のための3つの法則をご紹介します。

それはすでに出てきた「領域性の確保」「監視性の確保」「対象物の強化」の3つの法則です。

 

空き巣を寄せ付けない「領域性の確保」「監視性の確保」「対象物の強化」の法則

難しそうな用語を使ってはいますが、次のようにイメージすると実にシンプルです。

近づきづらい雰囲気がある(領域性の確保)
   ↓
近づく姿が見られやすい(監視性の確保)
   ↓
近づいたところでこじ開けられない(対象物の強化)

 

防犯を意識するとなると、ついドアや窓を強固にすることに注目しがちかもしれません。しかし領域性や監視性を確保して近づきにくい家にすることも重要です。

この3つの法則について、それぞれもう少し踏み込んだ解説をします。

領域性を確保する方法

近づきづらさを与える領域性は、いわば結界のようなものです。とはいえ立ち入り禁止のテープを張り巡らせて、物々しい景観にする訳にもいきません。さりげなく「ここから先は無断で入るべきではない」というメッセージを与えることが、実際の空き巣対策では重要です。

例えば道路との間に門や庭、玄関へのアプローチを置き、公共の場所から距離を取ることが好ましいでしょう。敷地内の目いっぱいに建物を建ててしまうと、道路から簡単に扉や窓にアクセスできてしまいます。

もちろん、塀や花壇で道路との区切りを設けることも大切。よりフラットな設計とするなら、敷地内に芝生や砂利を敷いて私有地であることをアピールするのも効果的です。

要するに「偶然通りかかった」という言い訳を許さない空間デザインをすることが、領域性の確保につながるのです。

監視性を確保する方法

いくら領域性を確保しても、いったん敷地内に入れば外から見えないのであればリスクは高いままです。図々しく敷地に侵入したとしても、その光景を誰かに目撃されやすい見通しの良さを確保する必要があります。

積極的に採用したいのが、格子です。敷地の塀やバルコニーに格子を使うことで、丸見えではなくともそこに人がいることがわかる程度の見通しを確保できます。

人の目を集める物、例えば花を飾るという方法もあります。ただし手入れをしっかりないと遮蔽物となり得るほか、家主のズボラさを空き巣にアピールすることにもなってしまうかもしれません。

また、近所との良好なコミュニティも監視性を高める有効な手段です。近所の異変に無関心な地域であるかどうか、空き巣は下見の時点でチェックします。

対象物を強化する方法

基本的には、ドアや窓の防犯設備を充実させることで対象物を強化できます。

重要なのは、ワンドア・ツーロックを徹底することです。空き巣の7割は侵入に5分以上かかると犯行を諦めるとされており、複数のロックで侵入に時間がかかると悟らせることは有効な手段です。

プロの空き巣はドアや窓をこじ開ける方法を熟知しているため、侵入不可能とすることは現実的ではありません。しかし、空き巣は開錠に時間をかけて誰かに目撃されることを非常に恐れます。

既にお分かりかもしれませんが、領域性や監視性が確保されていることは、対象物の強化と組み合わせるべき必須の条件でもあるのです。

 

まとめ

一戸建てにおける、空き巣に狙われやすい危険なポイントを解説しました。ここで挙げたような箇所を極力減らすことで、被害に遭うリスクを軽減させることができるでしょう。

ただし、危険なポイントはその家や近隣の建物によって微妙に変化します。マニュアル的ではない、柔軟な対策が必要となる場合も考えられます。

そのためには「領域性の確保」「監視性の確保」「対象物の強化」の3法則を念頭に置くことで、効果的に防犯環境を整えることが可能となります。

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