10月中旬、ある男性が空き巣を28回繰り返していたことが判明しました。
被害総額は約350万円。現金や時計、商品券が盗まれました。
本事件で驚くべきは犯行回数だけではありません。なんと被害者の7割が被害に気付いていなかったのです。
警察の調べによってその巧妙な手口が明らかとなっています。
その手口から、私たちが気を付けるべきことが浮き彫りになりました。
事件の経緯
今年8月、札幌市西区にてある男性が空き巣の現行犯で逮捕されました。
男性は札幌市西区琴似に住む無職、大竹秀広容疑者(66)。
警察が余罪を追及すると、2015年5月から28件の空き巣を繰り返していた事が判明。盗まれたのは現金や時計、商品券で、被害総額は約350万円に上りました。
余罪追求のなかで判明したのは、犯行の常習性だけではありません。
なんと被害者の7割が、空き巣に入られたことにさえ気づいていなかったことがわかりました。
空き巣の手口
窓の開け方
大竹容疑者は夜間に活動していました。夜の街を自転車または徒歩で回り、明かりの付いていない家を探したといいます。
彼は窓からの侵入を好んでいたようですが、この手法が特徴的かつ非常に厄介なものでした。
彼は窓にマイナスドライバーを差し込み揺さぶることで、外からクレセント錠を開けていました。この方法ではガラスを割る必要がありません。
これは痕跡が残らないため、空き巣が侵入したことに気づきにくくなる恐ろしい手法です。基本的に熟練の空き巣犯が使う傾向があるとされています。
さらに室内を物色した後もキレイに整頓し、まるで何事もなかったかのように装いました。
被害者が空き巣に入られたことに気づけなかったのも不思議ではありません。
1度の犯行で比較的少額を奪うようにしていたフシもあり、結果として事件の発覚を防ぐことに成功してしまいました。
2階の窓からも侵入していた
大竹容疑者の犯行の特徴に、2階からの侵入も積極的に行っていたことが挙げられます。
報道では「木を登るなどして2階へ上った」とされていますが、木に限らず屋外の倉庫、カーポート、雨どい等あらゆるものを利用していたと考えられます。
2階への侵入については、こちらの記事でも注意点をご紹介しています。
私たちが気を付けるべきこと
窓も施錠をしっかりと
まずは窓の施錠をしっかりすることが大切です。2階であっても空き巣の標的になります。夏には2階の窓を開けっぱなしにするご家庭も多いと思いますが、外出時にはしっかり施錠しておきましょう。
また、窓をゆすってクレセント錠を開ける手口の場合、クレセント錠のかかりが甘いと比較的簡単に開けられてしまいます。
クレセントのかかりが悪くて面倒だから……と半分程度のかかり具合で済ませていると、同様の手口の標的になりかねません。
クレセント錠に期待はできない
そもそも窓のクレセント錠はカギ呼べるほどの防犯性能はありません。本事件の犯人は窓をゆすって開錠していたようですが、手が入る程度にガラスを割ればクレセント錠は容易に開錠できます。慣れた空き巣なら30秒足らずで完遂可能です。
クレセント錠をダイヤル式またはキー式のロック機構を持つ物にすれば、防犯性能は高まります。可能ならばロック機構のクレセント錠と、窓の上下に設置できる補助錠を併用するとなお安心です。
ドアの鍵について、「ワンドア・ツーロック」という言葉があります。カギは1つだけでなく2つ付けましょうという意味ですが、窓にも同様のことが言えるでしょう。
クレセント錠については、こちらの記事で詳しく解説しています。
夜間外出時の明かりについて
夜間の不在を狙った空き巣も一定数存在します。
侵入盗の多い時間帯は12~16時です。しかし近年になって夜間帯での発生割合が増加傾向にあります。
参考:警察庁統計
この表からH30年になって20時~翌日4時の発生割合が上昇していることが確認できます。同様の指摘は2003年にもあり、おおまかな分析ではありますが夜間帯の空き巣が増えていると考えられます。
夜間の対策を講じることも、財産や身の安全を守るためには必要と言える状況です。
夜間に外出する時は、あえて電気をつけっぱなしにしておくことも一定の防犯効果が期待できます。室内に人がいると匂わせることになるためです。
もしかすると、外出中の電気のつけっぱなしには抵抗があるかもしれません。それでも、近所で空き巣被害があった場合などには明かりを灯しておく価値は十分にあるでしょう。