最近、ガスの点検を装った強盗事件が多発しています。
また新型コロナのアンケートを装った強盗事件も起きてしまいました。
注目すべきは犯人たちの粗暴さ。招き入れたが最後、突然暴力をふるい強引に金品を奪う手口が好まれているようです。
さらに、全国ニュースで取り上げられたことで犯人たちが手口を変えてくる可能性も。おそらく事前にアポ電をかけてターゲットの情報を知る&信用させる手口が増えてくるのではないかと推測します。
被害を防ぐためには、まずは犯行グループの手口を知ることが大切です。そのうえで、玄関口での防犯やアポ電対策を行うことが好ましいでしょう。
今回は、身を守る心掛けに加えて、玄関口やアポ電にて犯罪者への威嚇を行える機器のご紹介をします。
犯人の手口
「ガス器具の点検に来ました」
「新型コロナウイルスのアンケートに協力してもらいたい」
ドア越しにこのような説明をしてくる例が確認できています。
室内に入れてしまうと突然家人を拘束し、「金を出せ」と強迫してきます。
男2人以上で訪問してくることが多く、抵抗は実質不可能であるどころか暴力を振るわれるリスクが上がるだけです。実際、何らかの暴力を振るわれている例は複数あります。
男らは「金を出せ」と夫を脅して顔面を殴りケガをさせたほか、妻の首を絞めるなどしましたが、夫婦が抵抗したため何も奪い取らずに逃走したということです。
9/21(月) 日テレNEWS24
同日夜に帰宅した息子が縛られた状態の女性を発見し、110番通報。女性は肋骨(ろっこつ)を折るなど全治3カ月の重傷を負った。
9/25(金) 産経新聞
犯行グループのメインターゲットは60歳以上とみられています。
おそらく事前にターゲットの情報は調査済みで、高齢者がいるかどうか、その他の家族構成、在宅時間はいつか、さらに資産状況も把握されている可能性が高いです。
そして悪質なのが、例え怪しんで断ったとしても強引に押し入ってくる場合もあることです。以下の事件では、家人が警戒したにもかかわらず被害にあってしまいました。
捜査1課によると、2人は自治体職員を装って女性宅を訪問し、「新型コロナウイルスのアンケートに協力してもらいたい」などとインターホン越しに説明した。親族と電話中だった女性が断ると、無施錠の掃き出し窓から侵入してきたという。
9/25(金) 産経新聞 (一部抜粋・文字強調は筆者)
警視庁によりますと、20日午後1時半すぎ、東村山市にある80代の夫と70代の妻と息子が住む住宅に、若い2人組の男が「ガスの点検に来た」などと言って押し入ったということです。
この際、妻が「うちはプロパンなのでいらない」とインターフォン越しに断りましたが、男2人は無施錠の玄関から侵入したということです。
9/21(月) 日テレNEWS24 (一部抜粋・文字強調は筆者)
犯人たちは初めから強盗のつもりで訪問しています。この向こう見ずな性質は、被害者の命さえも危うくしかねません。
さらに、事前に訪問を伝える「アポ電」も確認されています。公共機関をかたった丁寧な電話を受けると、つい信用してしまいやすく、要注意です。
アポ電とは?
ターゲットの状況確認や、後の訪問を正当なものと信じさせるための電話。
「お金はありますか」
「ガス点検に行くが家にいますか」
このような例が確認されています。
この文面だけなら怪しいと疑えるかもしれませんが、実際には巧みな話術や背景音が駆使されており、つい信じてしまいがちです。
このように、犯行グループは周到な準備と強引さで家に押し入ってきます。メインターゲットが高齢者ということもあり、対策するにも「気を付ける」という精神論では足りないと考えるべきでしょう。
次に、被害を避けるための具体的な対策をご紹介します。
対策① ガス点検やコロナアンケートについて知る
ガス会社からも注意喚起されている
「本物のガス点検と見分けがつかない」ことが、被害の始まりです。
しかし、一連の事件を受けてガス会社から明確な注意喚起がありました。以下は東京ガスからのお知らせの抜粋、意訳です。
・事前にチラシ等にて、訪問予定日をお知らせする。
・作業員は、左胸に東京ガスのロゴ、ライフバルやエネスタのロゴが入った制服を着用し、「身分証」を携行している
・アンケートと称して家族構成や資産状況などの情報を訊ねることはない
なお、一部報道では「訪問前の電話連絡はしない」「ガス点検時、ガスメーター周りの作業以外で屋内に入ることはない」と伝えられました。
しかし東京ガスはこれを誤りとして、場合によっては電話連絡や室内の点検も行うことがあるとしています。
(あくまで抜粋、意訳のため、本文を一読されることを推奨します。
東京電力 東京ガス社員などを装った訪問や不審電話等にご注意ください
東京電力 当社グループのガス設備定期保安点検における事実と異なった内容の報道について)
点検員が来たらどうしたらよい?
まずはドアを開けない事。もちろん、普段から施錠はしておきましょう。
そして、身分証や身なりの確認をする場合もドアチェーンを外さない事。
この2つを念頭に置いた上で、説明不足を感じたら会社や事業所に電話すると確実です。
あらかじめ番号を携帯電話に登録したり、張り紙に書いたりしておくと落ち着いて対処しやすくなります。
嘘のコロナアンケートを見抜けるか
厚生労働省は新型コロナを利用した詐欺事件を受けて、個人情報を聞く、助成金を受けられるという趣旨の電話はしないと発表しています。
しかし、これはあくまで詐欺事件全般への注意喚起。コロナアンケートについて「絶対に訪問しない」と明記している機関は、9/27現在確認できません。
アンケートに限らず、新型コロナに関係づけた訪問理由は多岐にわたることが推測されます。
これまでに確認された訪問理由
・水道の洗浄が必要
・近所で感染者が出たため、室内を消毒する
・金の相場が上がるとの相談
このようにバリエーションに富んだ理由が持ち出されています。これからも増えることでしょう。アンケートなどの訪問が悪意あるものかどうか見分ける事は簡単ではありません。
コロナ関係で訪問されたらどうすればよい?
ガス点検と同様の対応が必須です。
ドアを開けない、本人確認の際にはドアチェーンをかけて対応する、そして自治体や機関をかたる場合、その電話番号を自分で調べて電話で確認をしましょう。
対策② 電話機器やドアホンの性能で犯罪者のやる気を削ぐ
アポ電に出ないための防犯電話
事前に来るアポ電を回避し、犯罪者のやる気を削ぐには電話機器の防犯機能を利用するのも良い手です。
まず、アポ電には出ないことが最善。登録者以外の番号から電話が来た場合、ユーザーに警戒を促す機能をもつ電話機器があります。
画像引用:SHARP 「JD-AT95」
番号未登録者からの電話は赤色ランプで警告する
また、犯人側に警告メッセージを流す機能も。万が一電話に出てしまった場合に備え、「防犯のために通話が録音される」旨のメッセージを流せばユーザーの警戒心を犯人に伝える効果も期待できます。
画像引用:SHARP 「JD-AT95」
警告メッセージは、本人を含めた家族の防犯意識の表れにもなる
基本的にアポ電は、警戒心を解いたりパニックにさせて判断力を鈍らせたりするよう工夫されています。そのためアポ電には出ないことが最重要。どのような電話機器でも、この2種の機能は欲しいところです。
録画機能付きドアホンでためらわせる
犯人としても、訪問時に顔を録画されるのはできれば避けたいはずです。似た条件のターゲットなら、録画ドアホンがない家を選ぶでしょう。
明らかにカメラが搭載されていることがわかるドアホンなら、下見や訪問時にためらわせることができる可能性があります。
画像引用:アイホン 「KM-77 カメラ付き玄関子機」
大きめのカメラは「撮っている」ことがわかりやすい
録画は、できれば動画が好ましいです。静画では角度や帽子などによってうまく顔を録画できない場合があります。夜間の訪問に備え、センサーライト付きを選ぶとなお安心。画角もなるべく広いものを選びましょう。
画像引用:アイホン 「ROCOタッチ7」
広い画角で不審な動きもキャッチ
とはいえ、一連の訪問強盗事件からは多少の証拠が残ることもいとわない乱暴さが伺えます。たとえカメラで撮影されても侵入を強行する可能性もあるため、過信は禁物。まずは普段の戸締りやアポ電対策で被害を防ぎましょう。
まとめ
最近首都圏を中心に頻発している、ガス点検を装った強盗。コロナのアンケートをかたった例も確認されており、これからの手口の変化も予想されます。
手口が多少変わっても、まず意識すべきは施錠の徹底と簡単にドアを開けないこと。そしてアポ電への対策として、防犯機能を備えた電話機器を利用することも重要です。
訪ねてきた人が本物だったら失礼だし……と考えてしまうかもしれませんが、多少の時間をかけても、本人の身分証確認や強盗ではないか考える猶予は欲しいところ。
コロナ渦では、想像だにしない理由で訪問者が現れるかもしれません。しばし時間を頂くこととして、犯罪被害に遭わないための習慣をつけましょう。