報道のタイミングってありますよね。
なんで今その情報を?と詮索したくなる時ってありますよね。ないでしょうか。
昨年、武装集団に襲撃されたTEFAFマーストリヒト。警察は容疑者どころか、盗まれた宝石についても語りませんでした。
ところが今年のTEFAF開催の直前になって、容疑者の情報を流したのです。
「ピンクパンサー窃盗団」、犯人たちはそう呼ばれています。
ピンクパンサーは宝石類をメインターゲットとし、主な手口はスマッシュ&グラブです。
彼らの入念な下調べは強盗の高い成功率を導き、殺傷沙汰をうまく回避します。
短絡的な粗暴犯ではないことは明らかですね。
活動地域はヨーロッパ各国、中東の一部、オーストラリア、アメリカ、そして日本。
2007年に銀座で起きた宝石強盗の犯人として、ピンクパンサーの名前は日本でも話題になったそうです。私は知りませんでした。その頃何してたっけ…
そのためか、ピンクパンサーについては日本語の媒体でも少しは情報収集が可能です。ありがたい。
この窃盗団についての掘り下げは次回以降の記事で進めていきます。
いま考えたいのは、ピンクパンサーの関与がTEFAFマーストリヒト開会の5日前に突然報じられた意図でしょうか。
①捜査進展のアピール
警察への信頼向上を狙うにしては遅すぎるかと。
本当に最近になって強盗団の関与が分かったのなら別なんですが。
②TEFAF開会の不安の払拭
可能性は低いですね。TEFAFの参加者はとっくに決まっているので。
NY Timesは3月2日、「強盗事件にも関わらず参加者が続々と集まっている」旨の記事を書いています。
参加者にとって昨年の強盗は大した関心事ではないようです。すごいね。
③ピンクパンサー側との何らかの合意
盗まれた宝石の一部は、最近になって取り戻せたとも警察は発表しました。
闇社会に流れた宝石を取り戻すのは極めて難しく、これは奇跡的と言っても良いです。
…ピンクパンサーとの、何らかのギブ&テイクがあったかもしれない、というのは考え過ぎでしょうか。
ただし、警察は犯罪者にギブできません。そこで活躍するのが闇社会に精通した探偵です。
オランダを活動拠点とする美術探偵アーサー・ブランドは、TETAF襲撃犯がピンクパンサーである可能性を事件直後から指摘していたといいます。
この探偵が仲介役となって宝石を取り戻し、そして何らかの条件付きで犯行グループの正体くらいは明かしても良いとの合意に至ったか・・・?
タイミングというのは恐ろしいものです。人をこれほどまでに懐疑的にさせるんですから。