ブラックマーケット調査

・・・すこし手直し中・・・

ピンクパンサー窃盗団⑤:現在の動向?

ピンクパンサー最後の記事です。

ここでは彼らの現在についての記述を試みます。

ギャング達の今を正確に知ることは困難なため、手に入る情報からの推測がメインになるでしょう。

 

直近の活動

私が知りうる限り最新の報道から、ピンクパンサーの動向を探ります。

重要なのは逮捕の情報です。

 

2023年3月2日 ギリシャで逮捕

メンバー5人がアテネで逮捕されています。容疑は2022年12月20日、高級時計の強盗。

5人のうち1人はギリシャ人、他メンバーの国籍は不明です。現地の警察は彼らをピンクパンサーだとしています。

公表していないだけで、バルカン半島出身者である等の根拠はあるのでしょうが……

5人それぞれに他国での前科があるらしく、国際的な犯罪行為に手を染めていたことは確かなようです。

参考:https://greekcitytimes.com/2023/03/04/police-pink-panther-heist-athens/

 

2022年7月26日 イタリアで逮捕

ミラノで活動していた3人が逮捕されました。うち1人は殺人と武器爆発物の不法所持で国際逮捕状が出ていた人物です。

ピンクパンサーは基本的に殺人をしません。

この人物がどんな状況で殺人を犯したのかは不明です。宝石強盗とは無関係の場面だったのか、そもそも実はピンクパンサーではないのか?

それともピンクパンサーにも殺人を厭わないグループが生まれてきているのか。

ともあれイタリア当局は彼らをピンクパンサーだとしています。3人の国籍は発表されていません。

参考:https://www.occrp.org/en/daily/16622-italy-arrests-three-men-linked-to-the-pink-panthers

 

2021年4月13日 アルゼンチンで逮捕

首都ブエノスアイレスの高級マンションに住んでいた人物が、偽造パスポート使用の罪で逮捕されました。

男は2005年にフランスで、2017年にはイタリアで、宝石と高級時計の強盗を働いたピンクパンサーのメンバーとされています。

アルゼンチンでは偽造パスポート以外の犯罪はしていないことから、「休暇中」であったとの見方が有力です。

なお男に手錠をかけたのはインターポールの職員でした。明言されていませんが国際指名手配犯だったのかもしれません。

参考:https://www.telegraf.rs/english/3330780-pink-panther-arrested-in-argentina-he-stole-jewelry-worth-2-million-in-saint-tropez

 

以上の報道からは、近年もピンクパンサーがヨーロッパで活動していることがうかがえます。

 

未解決事件への関与も否定できません。

例えば2022年6月に起きた、オランダのアートフェア襲撃。これもピンクパンサーの仕業であると捜査関係者は語っています。

blog.bouhanmemo.com

 

一方、活動の規模は縮小傾向にあると予測できます。犯罪発生件数からの裏付けはできませんが、インターポールによる厳しい追跡と、EU からの圧力は確実に彼らの安全圏を奪い取っています。(ピンクパンサー窃盗団③を参照)

 

ところで、ピンクパンサーその①で提示した「注意点」を覚えておいででしょうか。

ピンクパンサーはおそらく、単一の組織ではありません。

それは逮捕の報道を見て窺えることでもあります。犯罪組織のメンバーを逮捕したと言うならば、ボス格の人物との繋がりを探り、裏付けるべきです。

ところが現状は、犯人がピンクパンサーであることの根拠が一切示されないままなのです。

 

インターポールによる報告も含めて、現在、何者かが「ピンクパンサー」と呼ばれるための条件とは……

・スマッシュ&グラブの洗練された犯行
・宝石など高級店を狙う
セルビア・モンテネグロ出身(バルカン半島出身者にまで拡大されることもある)

以上とみられます。

 

ピンクパンサーはマフィアやヤクザのような構造を持たず、犯行の度に離合集散する人々です。ピンクパンサーと呼ばれた人どうしでも、繋がりが一切ない可能性すらあります。

関係者からは指示役としての中核グループの存在がほのめかされてはいますが、それは「中央集権」を意味してはいないように思えます。彼らのボスはいまだ確認されていません。

連帯があるかどうかわからない人々を、犯行の形態が類似していることから「ピンクパンサー窃盗団」と呼んでいるのが現状です。

 

よって現在ヨーロッパで強盗を働いているピンクパンサー達は、大規模な犯罪組織のメンバーではなく、郷里を同じくした模倣犯と解釈するべきかと思います。

世代交代による弊害

何度か触れてきましたが、ピンクパンサーの起源は旧ユーゴスラビア紛争の民兵です。

しかし主だった紛争から20年近く経った今、メンバー内には元兵士ではない人物が増えてきていると考えられます。

 

パンサー達が得意とする「スマッシュ&グラブ」の犯行には、入念な下調べが必須です。

犯行メンバーが語るところによると、センチメートル単位での見取り図を作成する必要があったともいいます。計画段階でミスがあれば犯行は失敗に終わる、とも。

緻密な作戦立案や素早い犯行には、従軍経験がプラスになっていたことは想像に難くありません。

 

もしピンクパンサーが、計画・実行ともに未熟な組織になっていくなら何が危惧されるでしょうか?

おそらく殺傷沙汰が増えていくでしょう。

犯行が失敗に終わるのは喜ぶべきことです。しかし予想外の事態が犯人を動転させ、彼の拳銃に撃ち抜かれる人が出る事は最も避けなければいけません。

 

現にピンクパンサーはそれほど紳士ではなく、警備や店員とのもみ合いの中で発砲したケースが複数あります。

これまでは跳弾が客の鼻をかすめたり、警備員の頬を撃ち抜いたりで済んでいたので、結果的に「紳士的」と呼ばれていたにすぎません。

 

人命保護の観点から言えば、未熟な強盗犯は恐るべき脅威なのです。

 

 

ピンクパンサー窃盗団 記事リスト

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