不審者はどんな服装で街をうろつくのか?
子供に聞いてみると、おおむね以下の特徴を答えると言います。
- サングラス、マスク、帽子をつけている
- だらしない格好をしている
- 中年の男性
大人でも同じイメージを持っている人もいるでしょう。
しかし、実際の不審者情報でこの特徴が揃うことは滅多にありません。
間違ったイメージは偏見を生むだけでなく、子供にとって危険なこともあります。
その理由をここで解説します。
不審者の服装イメージが子供の危険に繋がる
冒頭のとおり、子供は不審者について間違ったイメージを持っていることが多いです。
これは子供がごく普通の格好をした人に対して警戒できなくするリスクを生みます。
「不審者について行かない」
「不審者に気を付けましょう」
この教え方で子供が警戒するのは、マスク、サングラス、帽子をした怪しげな中年男性となります。
しかし実際に子供を狙う者はほとんどが「普通」の格好です。スーツを着た男性、さわやかな青年、時には女子中学生が子供を標的とした事件を起こしてきました。
怪しい格好をした人を警戒するようになった子供は、ホームレスなど特定の人物への偏見を持ち、その一方で本当に自分を狙っている脅威には無防備となります。
「声をかけられたけど、怪しそうな人じゃないし大丈夫」と警戒を解き、犯罪へ巻き込まれるかもしれません。
不審者は行動に特徴がある
外見での判断に頼るのは危険とはいえ、不審者を見分ける手がかりは欲しいところです。
不審者は外見ではなく行動に特徴があります。
しつこく関わろうとしてくる人に注意
会話だけでなく視線も含まれます。道を尋ねる、注意を引くような変わった動作をする、じっと凝視してくるなどの行動が考えられます。
子供を狙う側としては「狙いやすい子供かどうか」の品定めも兼ねてコンタクトを図ります。この時点で子供には警戒心を持ってほしいところです。
「しつこく関わろうとする人には気を付けて」と教えておくのが有効です。あえて不審者の外見には触れないほうが、子供の視野を狭めずに済むでしょう。
「関わってくる人に警戒」の悩みどころ
関わってくる人すべてに警戒する子供は犯罪に巻き込まれにくいかもしれません。しかし心の発達や対人スキルの成長を考えると、それで良いのか疑問があります。
挨拶を返さない、困っている人を助けない。それを良しとするかどうかは親次第ではありますが、バランスのとり方に悩む方は少なくないと思います。ここでは2つの解決策呈示します。
距離をとる
相手の手が届くような距離に近づかないようにするだけでも、相手が本性を現した時に逃げられる確率が上がります。少なくとも狙いやすい子供とは思われずに済むでしょう。
大人を呼ぶ
子供が何かしらの助けを求められたときには、大人に手伝ってもらう意識でいてもらう方が安全です。
そもそも子供に道を聞いたり助けを求めること自体が多少不自然ではありますが、困っている人でも無視しろとは教えづらい場合に役立ちます。
不審者から子供を守るのは大人
これまでは子供自身の自衛能力に言及してきました。
不審者への先入観を持たせないで行動に注意してもらうだけでも、一定の防犯効果は期待できます。
それでも子供は自分を守りきれません。成人でさえ詐欺に引っ掛かり、ひったくりに遭うのです。子供の自衛能力には限界があります。
子供を守る最大のカギは周囲の大人。街ぐるみでの見守りがなければ、子供に対する犯罪を防ぐことはできません。
子供の見守り、通学路に潜む危険の把握、不審者情報の収集。これらを大人が率先して行うことが、子供の安全に直結します。海外では子供を放置することを虐待とみなす国もあります。
子供にとっての最大の危険は、悪意ある者の存在と周囲の無関心が合わさった瞬間です。