逃走した犯人がカメラの映像によって捕まった事件は数知れず。防犯カメラはなくてはならないものとして、街や店先、家に浸透しています。
そんな防犯カメラの機能を知っている方は、意外と少ないのではないでしょうか。
家庭用のビデオカメラなら「ちょっと調子が悪いな」も許容範囲。しかし犯罪を記録するカメラにはどんな環境下でも確実な動作が要求される上、犯人を追い詰める高度な機能も求められます。
一体どんな工夫が施されているのでしょうか。重大な責任を背負ったカメラたちの機能を覗いてみましょう。
どんな場所でも録画するために
暗所撮影のデイナイト機能
事件は夜間にも絶えず起こります。そこで屋外撮影なら必須とも言えるのが、暗所を撮影できるデイナイト機能。
物体の発する赤外線をキャッチすることで光のない場所でも撮影可能。さらには自ら赤外線を照射して暗闇の中でも怪しい姿を捉えます。
画像引用:ビックカメラ,com
レンズ周囲に赤外線LEDが仕込まれたものはIRカメラとも呼びます。IRとはinfraredの略で、赤外線の意味です。
デイナイト機能ではありませんが、センサーライトを内蔵して被写体を照らすタイプのカメラもあります。こちらは侵入者への威嚇も期待できます。
ワイドダイナミック機能
暗い場所でカメラを回して、パッと明るい場所に出た時に画像が「白飛び」した経験はないでしょうか?逆の場合は「黒つぶれ」をおこしますが、これはカメラの宿命でもあります。この明暗の差による画質劣化を防ぐのがワイドダイナミック機能です。
明るい画像と暗い画像を合成することで、適切な画像を撮影することが可能。主に明暗が切り替わりやすい店舗の出入り口で使われます。
雨や砂塵に負けないカメラ
ハウジングでカメラを守る
防犯カメラの置かれる状況は過酷なものばかり。照りつく太陽や凍える低温に耐えなくてはいけません。「凍りついて証拠が撮れませんでした」では済まされないのです。
防犯カメラを守る方法の1つが「ハウジング」。これはカメラを覆うケースで、防滴、防塵効果の他にヒーターやファンを内蔵しているタイプもあります。
画像引用:I.T.S 写真ではわかりづらいが、ヒーターとファン内蔵のモデル。
保護等級「IP」とは
いざ防犯カメラを探していると、「IP66相当」などという表示を見かけると思います。IPとはJISが定めた保護等級で、砂塵や水への耐性を数値で示すものです。
IPの見方は以下の図のとおり。
IP66とは、防塵、防水それぞれ次の耐性があるという意味です。
防塵:侵入が完全に防護されている
防水:あらゆる方向からの強い噴水流による有害な影響がない
なお、防塵と防水の片方がXと表記されていることがあります。これは「試験を行っていない」という意味です。全くの無防備とは言い切れませんが、試験によって保障されてもいません。
屋外に設置するカメラはIP66程度の防塵・防滴性能が必要です。
危険人物を追跡せよ
ターゲット追尾
全ての防犯カメラが視野を固定されている訳ではありません。種類によっては角度を調整し撮影範囲を変えられるタイプも。そしてこの機能によって、ある人物を追尾することも可能です。
身体的特徴から個人を特定
例えば空港にいる群衆に危険人物が紛れていたら。こんな危機を防犯カメラが知らせてくれる場合もあります。
データベースに登録されている危険人物の身体的特徴と監視中の映像を照らし合わせ、瞬時に検知してくれる機能もAIが搭載されたカメラシステムなら可能です。
身近なところでは、体温が一定以上の人物を検知するシステムが使われています。これも生体情報を利用しているという点では同様です。大型の家電量販店などで見かけたことがあるかもしれません。
画像引用:ビックカメラ.com 多人数同時検温&マスク検知機能も搭載
「怪しさ」を検知するカメラ
不審な動作を検知
防犯カメラシステムのAIを駆使すれば、「これから悪いことをしそうな怪しい人物」を検知することも理論的には可能です。これは証拠としての防犯カメラではなく、犯罪を未然に防ぐカメラとして期待されています。
例えば、万引きをした人の一連の動作を数百、数千例とデータベースに登録し解析。すると「ある予兆」が見いだされます。それは顔のうつむき加減かもしれませんし、歩く速度や方向転換の頻度かもしれません。
万引き犯に共通の予兆行動が分かれば、防犯カメラがその行動を検知し店舗側に知らせてくれる防犯システムの完成です。
24時間365日、休まず人々を見守る防犯カメラの機能をご紹介しました。確実な動作と、そして犯人を追い詰める高度な機能。その両方が要求される防犯カメラですが、AIの進歩によってさらなる機能向上が期待できそうですね。