「防犯ブザーを付ける正しい位置はどこ?」
この記事では、そんな疑問にお答えします。
…が、実はこれだけではあまりに不十分なのです。
「防犯ブザーを使える子供にする方法」
についても解説させていただきす。
ある調査によれば、有事の際に防犯ブザーを使えた子供は驚くほど少数。ほとんどの子供は助けを呼ぶことができませんでした。
大人となった皆さまにも、大切な時に声が挙げられなかった経験はありませんか?
防犯ブザーを渡されただけでは、子供は自分を守れません。
不審者から子供を守る方法の1つ、防犯ブザーについてまるごと知っておきましょう。
防犯ブザー、子供は使えているの?驚愕の実態
危険に遭遇した時、防犯ブザーを鳴らした子供はわずか2%。
これは2007~2008年に、全国の小学生を対象とした調査(※1)の結果です。
遭遇した危険には、不審者に声をかけられた、追いかけられた、車に乗せられそうになった等の出来事を含んでいます。
防犯ブザーが「飾り」となっている事実がうかがい知れます。
いざという時に使いやすい位置に防犯ブザーを付けることと、防犯ブザーに頼る勇気をつくってあげることが必要不可欠です。
(※1 清永賢二(監).「犯罪からの子供の安全を科学する」.ミネルヴァ書房.2012.p-35)
防犯ブザーの正しい付け方・選び方、6つのポイント
次に、防犯ブザーの付け方のポイントを6つ解説します。
首から下げていないでしょうか?
ランドセルの横に付けてはいないでしょうか?
状況によっては防犯ブザーに手が届かなくなる危険性もあるのです。
①防犯ブザーを付ける場所
ズボンのベルトの高さがベスト。だいたい肘と同じか少し下くらいの高さです。
防犯ブザーはランドセルの肩紐につけやすく、ランドセル側にも肩紐にアタッチメントがある場合があります。
しかし、不審者に抱きつかれた場合を考えると危険です。
抱きつかれると肘よりも上の高さまで手を伸ばすことは困難になります。これでは防犯ブザーを鳴らしたくても鳴らせません。
よって、肘と同じくらいの高さがベストとなります。
利き手も考慮しましょう。子供と相談して使いやすい位置を決めるのも有効です。
②ひもの長さ
では防犯ブザーのひもを長くして位置を調整するのはどうでしょうか?ちょっとした危険がここに隠れています。
結論から言いますと、ひもは長くないほうが良いです。
子供が走って逃げる時、長いひもが揺れて防犯ブザーを掴みにくくなってしまう可能性があります。
緊張状態で冷静になれるかも疑わしい状況。そんな中で、ひもの揺れは非常に扱いづらいものです。
子供が走りながらでも防犯ブザーを掴めるくらいに調整しましょう。
③防犯ブザーの音量
音量は90 dB(デシベル)以上が好ましいです。
90 dBは、だいたい犬の鳴き声と同じとされています。主観的に「うるさい」と感じるには十分な音量と言えます。
しかし電車が通るガード下は100 dB。状況を選ばない音量ではない点に注意しましょう。
ちなみに自動車のクラクションも100 dB。ブザーで周辺住民に危機を知らせるには、最低限90 dBは必要です。
④目立つ場所、目立つ色でアピールできるか
防犯ブザーには、不審者に対する抑止効果もあります。
できるだけ見えやすい位置に、目立つ色の防犯ブザーを付けるようにしましょう。
とはいえ子供が気に入らないデザインでは、積極的に付けてくれないかもしれません。できることなら子供と相談したいポイントです。
⑤電池切れしてないか
しばらく使わないうちに電池が切れていた、なんてこともあります。
子供が遊んでいるうちに、防犯ブザーが衝撃で壊れている可能性も考慮しなくてはいけません。
定期的な動作確認を徹底しましょう。
特に、購入時に入っている電池には注意しましょう。基本的にテスト用の電池が使われているため、本来よりも早く電池切れを起こす可能性があります。
⑥2つあるとさらに安全
ランドセルに防犯ブザーを付けた場合には特に意識すると良いポイントです。
帰宅した子供がランドセルを置いて遊びに行く時、防犯ブザーを付け替えて出かけるのを面倒に感じるかもしれません。
下校時よりも暗くなりがちな夕方は、危険が増す時間帯。遊びに出かける時にも、防犯ブザーをしっかり付けていきたいところです。
以上の6つのポイントに配慮すれば、子供が効果的に防犯ブザーを使える状況が揃います。あとは、子供に防犯ブザーを使う勇気を授けましょう。
防犯ブザーを使える子供にするための方法
なぜ子供は防犯ブザーを鳴らせないのでしょうか?
多くの場合、「自分の判断が間違っているかもしれない」という心理が判断を鈍らせます。
不審者は必ずしも敵対的な態度で近づいてくる訳ではありません。
むしろ厄介なことに、面識のある人が危害を加えてくるケースも少なくはないのです。これは性犯罪で顕著な特徴です。
防犯ブザーを使える子供にするには、
①危ない大人がいること
②間違いだったら謝ればいいこと
③鳴らすとどうなるのか
この3つについて知ってもらうことが大切です。
1つずつ、見ていきましょう。
①危ない大人がいることを知ってもらう
子供を狙う、危ない大人がいるのは事実です。しかし子供にはどんな大人が危ないのかわかりません。
どういう大人が危ないのか、子供に教える必要があります。
「こんな大人は危ない」。その主な特徴は以下の通り。
・しつこく近づいてくる
・電話番号、名前、家をしつこく聞いてくる
・人気のない場所へ誘ってくる
こんな大人は危ない可能性があります。たとえ知り合いでも、実は危険かもしれないことをしっかりと覚えてもらいましょう。
②間違いだったら謝ればいいことを知ってもらう
子供が恐れるのは、自分の間違いでブザーを鳴らしてしまうこと。不審者に対して、本当に鳴らすべき相手かどうかが計りきれないのです。
「間違っていたら、誤れば許してくれる」「何よりも自分の命を優先し、自信をもって鳴らして欲しい」
間違いは誰にでもあり得ることを知ってもらい、鳴らす勇気を持ってもらいましょう。
③鳴らすとどうなるのかを知ってもらう
防犯ブザーの音が怖くて、鳴らしたことがないご家庭もあるかもしれません。
出来れば、鳴らしても構わない場所でブザーを鳴らす練習をしておきましょう。一連の動作の練習にもなります。
先ほどもご説明した通り、防犯ブザーはかなりの音量で鳴ります。いざと言う時、鳴らした子供が驚いてパニックになるかもしれません。
チェックしておきたいポイント
・どうすればブザーが鳴るのか
・どんな音が鳴るのか
・どうやって止めるのか
また、定期的な練習は電池切れのチェックにもなります。
まとめ
防犯ブザーには適切な位置があります。
- 子供が抱き着かれても掴めるように、肘と同じ高さ
- 走っていても大きく揺れない程度のひもの長さ
また、選ぶ際のポイントは
- 90 dB以上
- 目立つ色
そして定期的な動作チェックが大切です。
ほとんどの子供は危険な目にあっても防犯ブザーを鳴らせていません。
「危険を感じたら鳴らしていいんだよ」
「しつこく付きまとう大人は危ないよ」
といった事を子供と話しておくと、防犯ブザーを鳴らす勇気につながります。
防犯ブザーについて、子供とあらためてお話ししてみてはいかがでしょうか。