久々に防犯について書きましょう。(ブログURLから迷走の痕跡が見える…)
ただし役に立つもではないのでご了承ください。
以下のニュースについての考え事です。
ロシアのウクライナ侵攻の影響により光熱費が高騰。私のような庶民と同様、城の持ち主たちも暖房費がかさむ冬の到来に戦々恐々としているという話です。
記事によれば、城は気密性を高くしすぎるとカビや虫発生を招くため、断熱性能を追求できない面があるといいます。
入場料などによる収入で光熱費をまかなうことができれば問題はしません。ただしそれができない場合は、例えば窓の修繕費のための予算を回すなどの苦し紛れの対策を取らざるを得ないとのことです。
なんとか切り詰めようとする姿勢には、少々親近感を覚えますね。同じ人間なんだ、と。
彼らの言う窓とは100カ所以上あったりするのですが。
さて、ここからが本題。
何を切り詰めるかは城主によります。そこでもし、防犯設備や警備面の費用を切り詰めた場合はどうなるのでしょうか?
現代におけるフランスの城は、要塞でもなければ聖域でもありません。場所によっては一般開放し、美術品や歴史的建造物に触れる機会を提供する場所にもなっています。
「開放」した場所に並ぶ「美術品」。魅力的な空間に惹かれるのは、一般人だけでありません。
事実、城の襲撃が頻発した時期がありました。
それは1990年代後半のこと。彫像、器、振り子時計……1回の襲撃で1ダース以上の美術品が盗まれることも珍しくはありませんでした。
盗品のうち、警察が所有するデータベースと照らし合わせて他国で発見されたものもあります。
しかし多くのアイテムは二度と戻りませんでした。それらのほとんどは、巧妙に細工され、形を変えていたと考えられています。
城主たちは頭を抱えたことでしょう。事前に美術品の写真を撮っておいても、海外に持ち出されて姿形を変えているのなら見つけようがないんですから。(海外への流出ルートとしては、盗品受け取りが罪にならないベルギーとオランダが好まれました)
警察によると、頻発する強盗事件の裏には、カネになる美術品を欲しがる依頼人の存在があるといいます。
とりあえず金目のものが集まれば、細工して盗品とバレないように売りさばくのみ。そんな連中にとって、城は格好の的でした。
城主たちは防犯設備を頼みの綱としました。なるべく感度が高く広範囲を検知するセンサー、そして堅牢な錠前など。
そして増えていく防犯の経費。建物の規模が大きい分、必要経費もかなりの額になったと思います。
防犯設備の充実が功を奏したのでしょうか。それとも他の社会的要因か。現在フランスの城で盗難が頻発しているという話は聞きません。
もし、光熱費をまかなうために防犯への予算を縮小したらどうなるか。城の襲撃によるうまみを知った窃盗団、そして依頼人は、まだ野に放たれているはずです。